トレンドのOKRをデザイン組織で本格的に導入してみた

はじめに

みなさんこんにちは、プロモーション・デザインユニット(※以下、プロモ・デザインU)でマネージャーをしている加藤です。

1年振りの投稿となる今回は、会社のUXを担うポジションとして実践してみる!のシリーズ第2弾と称し、
デザイン組織でOKRを本格的に導入した際の気づきを簡単にご紹介します。

前回の記事はこちら tech-blog.optim.co.jp

OKRとは

OKR(Objectives and key results)は、個人や組織の目標設定のためのフレームワークです。 1つのobjectiveと3-5個のkey resultsで構成されるのが一般的で、objectiveは具体的で明確に定義された「目標」であり、key resultsはその目標の達成度を測るための定量的で測定可能な「指標」である必要があります。
※詳しくはこちらをご覧ください:OKR - Wikipedia

背景・課題

  1. チームの成果を最大化、チーム業績から全社業績への貢献度(明確な連続性)を示したい
  2. 個人目標設定の経験値が低いチームメンバーは苦手意識が芽生えており、設定に時間がかかり生産性も低い
  3. デザイナーは数字に弱いという印象を持たれがち(定性的なものも付加価値としては必要)
  4. そもそも従来のMBO(=目標管理)との違いがわかっていない

目的

OKRを習慣化し、日常的に組み込むレベルまで浸透させることで、目標達成の好循環を生み出す。

  • OKRを実践して学習、メリット/デメリットを把握することでチームビルドに活かす
  • 合意形成した上での定量的・定性的での評価のベースを作る
  • 目標管理のチーム内透明性の実現
  • 主体性(やり方の自由度)によるエンゲージメントUP
  • OKRツール導入に向けた課題抽出
    → 先ずは既存ツールを正しく定常的に全員が運用できているか
    → 既存ツールでの代用が効かない機能面の洗い出し

やってわかったこと/感じたこと

▲2022年度下期チームOKR

① 中規模チームでのディスカッション
大きくUI/UX、デザイン制作、プロモーションと3つの業務範囲に分かれているチームの体制に対し、3つの軸でObjectivesを設定しました。 それぞれのチームで議論を深め目標を定めていくのですが、マネージャーとしては非常に時間のかかるタフな取り組みでした。

② ファシリテーション
週次での目標管理として、チェックインMTGとウィンセッションを実施。
毎週、プロジェクト管理ツールへの達成率と状況コメント更新から予定/実績の発表、それらの進捗管理をする負荷も、チームとしてタフな作業になります。

③ OKRと人事評価との突き合わせ
複数人で成果を出すKRを設定したが、これを個人目標に落とし込むと人事評価として成立するのか?という疑問が湧きました。
答えは、1つのKR=1目標は否!(※実際は可能ですが、事前にそれを見越したKRを立案する必要があります)そのため、複数KRをメンバーそれぞれが再度グルーピング、改めて個人目標を作り直すことで2度手間となり、時間を浪費してしまった点は反省です。

④ やるべきこと(会社)、やってほしいこと(チーム)、やりたいこと(課題感)のバランス
チームでの上期課題を中心に据えて検討したことで、3つのチームの内1つが改善や新たな挑戦に寄り過ぎてしまいました。
結果、業績と直接の結びつきが不明瞭、且つチーム内の業務としても売上貢献という全社目標から乖離しているように見えてしまい、3つの軸の比率をしっかりと定義することが重要だと感じました。

⑤ OKR運用に関するツール
我々のチームでは普段からプロジェクト管理ツールであるRedmineを、目標管理ツールとしても代用しました。
基本的な進行管理で大きな問題こそありませんでしたが、達成状況の連続性を可視化するツリー構造、一覧性の悪さ、細かな達成(1%単位)が簡単には現せないといった問題に直面しました。 また、これらが全社OKRとなると、透明性という性質を実現するには閲覧権限といった機能も必要になり、目標管理という点での運用はさらに複雑で難易度が上がるのではないでしょうか。

⑥ チーム一丸で成果を追い求める点
今回の最大の振り返りポイント。実施期間中にチームメンバー増減が考慮できておらず、途中で欠員が出るという事態に陥りました。さらにストレッチを効かせた目標を掲げていたため、その穴を埋めるだけの余力がチームに残されていませんでした。
こういったケースは誰にでも起こり得る事であり、OKRのウィークポイントだとも強く感じました。このような事態を想定したバックアップ体制(担当補佐ポジションを置く)を敷く、達成条件や完了定義を明確にする、などを考慮しておくことで解決できそうです。また増員という場合においても目標の難易度が変わってしまうため、時期やチーム状況に応じて定期的に目標のメンテナンスすることも重要性です。

⑦ 導入して改善されたこと
メンバー1人1人が目標に向き合う時間が増えたことで、総じて目標管理が習慣化されました。
更にOKRでは、達成に至るまでのプロセスといった点で定性的な側面でも成果を生み出せる点、それも評価の対象となる点など、 デザイナーにとってはマッチしやすい目標管理フレームワークだと感じることができました。

まとめ

▲KPT法による振返り実施と改善案の策定

"OKRは一度失敗してからが本当のOKRである"という記事を目にし、その通りだと強く感じました。
但しこれについては、どんな物事に関しても言えることであり、失敗を受け入れ改善していくことが成長するという事だと理解していますので、必然ではないかと。 その成長という点において、以下に体験したからこその気づけた改善点をまとめてみます。

  • KRを立てる上で各自がOKRについて自己学習を行っておく
  • 期初から正式スタートが切れるようにスケジューリングし施策を立てる時間を確保する
    ・週5.5時間のブレスト会を1ヶ月間実施(他チームは始業2時間前に週2回など工夫必須)
    ・コミュニケーションの時間と各自宿題として検討する時間を作る
    ・計測は年度始めから実施するため検討フェーズもおおよそは加味してKRを設定する
    ・KR担当を数名配置してメンバー増減にも耐え得る状態を保つ

  • KRは案件起因のものを重点的に、また平均的に担当アサインをして貢献度=成果になるよう設定する
    ・案件起因(売上/コスト削減) :70%
    ・チーム内改善 :20%
    ・キャリアアップやチームビルド:10%
    ・キャリアデザインを伴う目標は別途で設ける必要がある

  • 人事制度との整合性を取り成果を共通化させる
    ・OKRは年次の目標にし、上期は中間達成率/達成度のKRを設定する
    ・達成難易度の妥当性を全員で精査する
    ・KRチケットのタイトルには、必ず必達数値を記載して常に目に入るようにする
    ・個人目標への落とし込みはMgrにアグリーメントを取り手戻りを防ぐ

  • 運用フローの改善
    ・週次でのチェックイン/ウィンセッションのタイミングはチーム特性に合わせる
     ※週初めにチェックインのプランを立て火曜に発表、金曜に成果発表とするサイクルにしています
    ・四半期に見直しの機会を実施する(KPIの妥当性チェック含む)
     ※メンバー増減によるOKR精査もこのタイミングで実施する
    ・業務状況を鑑みてサイクルを週次と2週間の2パターンで運用する

  • Redmineは引き続き活用
    ・業務用のプロジェクトとは別にOKR専用のプロジェクトを設置する
    ・チケットタイトルの命名規則は一覧性に富んだもので再定義する
    ・案件に紐づけられるものはその工数と付き合わせられるように設定しておく
    ・改善などのチーム活動は工数が積み上げられるチケットを各自が用意する

最後に

現在では全社OKRとして、経営層からスタッフ1人1人がつながり、企業の成長と個人の成果の結び付きがより明確で分かりやすくなっています。 我々のチームでも、主体性の底上げから定量と定性の両側面をしっかり成果として見据え、日々の小さな積み重ねが全社戦略に寄与、貢献していることがわかる様に今期もOKRに取り組んでいます。


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