こんにちは、R&Dチームの齋藤(@aznhe21)です。 最近はい・らすとのネタが浮かばず苦労しています。センスと丁度良いリリース日をください。
さて、本日9/10(金)にRust 1.55がリリースされました。 この記事ではRust 1.55での変更点を詳しく紹介します。
9/10は黒澤映画「羅生門」がヴェネチア国際映画祭で日本発の金獅子賞を受賞した日
- ピックアップ
- 安定化されたAPIのドキュメント
- core::ops::Bound::cloned
- std::string::Drain::as_str
- std::io::IntoInnerError::into_error
- std::io::IntoInnerError::into_parts
- core::mem::MaybeUninit::assume_init_mut
- core::mem::MaybeUninit::assume_init_ref
- core::mem::MaybeUninit::write
- array::map
- core::ops::ControlFlow
- core::arch::x86::_bittest
- core::arch::x86::_bittestandcomplement
- core::arch::x86::_bittestandreset
- core::arch::x86::_bittestandset
- core::arch::x86_64::_bittest64
- core::arch::x86_64::_bittestandcomplement64
- core::arch::x86_64::_bittestandreset64
- core::arch::x86_64::_bittestandset64
- 変更点リスト
- 関連リンク
- さいごに
- ライセンス表記
ピックアップ
個人的に注目する変更点を「ピックアップ」としてまとめました。 全ての変更点を網羅したリストは変更点リストをご覧ください。
パターンとして「以上」のレンジが使えるようになった
パターンとして1..
のような形のレンジが使えるようになりました。
パターンとして使えることで複雑な構造での分岐がやりやすくなります。
use chrono::NaiveDate; // 日付とその時点の年齢から、2人が結婚が可能かかどうかを返す fn marriageable(date: NaiveDate, man: u32, woman: u32) -> bool { match (date >= NaiveDate::from_ymd(2022, 4, 1), man, woman) { // 2022年4月1日以降は男女ともに18歳以上で結婚可能 (true, 18.., 18..) => true, // それまでは男性が18歳以上、女性が16歳以上で結婚可能 (false, 18.., 16..) => true, // それ以外は結婚出来ない _ => false, } }
ただし、他のスタイルのレンジは実装や演算子の優先順位等で問題があるようで、まだ使うことは出来ません。
match x { ..1 => println!("0"), // ^^^ half-open range patterns are unstable 1..3 => println!("1〜2"), // ^^^^ exclusive range pattern syntax is experimental 3..=4 => println!("3〜4"), // ^^^^^ exclusive range pattern syntax is experimental 5.. => println!("5〜"), // ↑はOK }
配列をそのまま写像出来るようになった
固定長配列において、配列の所有権を奪い、同じ長さの配列として値を写像出来るようになりました。
let arr: [u32; 3] = [0, 1, 2]; let arr: [u32; 3] = arr.map(|x| x * 2); println!("{:?}", arr); // [0, 2, 4]
ただしrust-lang/rust#75243の中でも指摘されている通り、生成されたコードが必ずしも最適化されているとは限らず、 また配列の大きさによってはスタックを使い尽くしてしまうこともあるようなので使用方法には注意が必要です。
詳細はarray::map
のドキュメントも参照してください。
I/O関数から返されるエラーの値が一部変更された
これまで、標準ライブラリのI/O系の関数(std::fs::write
など)から返されるエラーで、
ErrorKind
に定義されていないタイプのエラーではErrorKind::Other
が返されていました。
Rust 1.56では仕様が変更され、ErrorKind::Other
は標準ライブラリでは使われず、ユーザーコード(クレート含む)でのみ使用されることになりました。
そして、これまでErrorKind::Other
で返っていたエラーはmatch
ではワイルドカード(_
)でのみ受け取れるようになりました。
これは将来的にバリアントが追加されることを想定したもので、
例えばENOSPC
は(安定化されておらず使えないものの)ErrorKind::Other
の代わりにErrorKind::StorageFull
を返すようになるようです。
もしこういったエラーを受け取るためにErrorKind::Other
を使っているのであればコードを修正する必要があります。
安定化されたAPIのドキュメント
安定化されたAPIのドキュメントを独自に訳して紹介します。リストだけ見たい方は安定化されたAPIをご覧ください。
core::ops::Bound::cloned
impl<T: Clone> Bound<&T> { #[stable(feature = "bound_cloned", since = "1.55.0")] pub fn cloned(self) -> Bound<T> { /* 実装は省略 */ } }
境界の中身を複製し、Bound<&T>
からBound<T>
に変換する。
サンプル
use std::ops::Bound::*; use std::ops::RangeBounds; assert_eq!((1..12).start_bound(), Included(&1)); assert_eq!((1..12).start_bound().cloned(), Included(1));
std::string::Drain::as_str
impl<'a> Drain<'a> { #[stable(feature = "string_drain_as_str", since = "1.55.0")] pub fn as_str(&self) -> &str { /* 実装は省略 */ } }
このイテレーターの残りの(部分)文字列をスライスとして返す。
サンプル
let mut s = String::from("abc"); let mut drain = s.drain(..); assert_eq!(drain.as_str(), "abc"); let _ = drain.next().unwrap(); assert_eq!(drain.as_str(), "bc");
std::io::IntoInnerError::into_error
impl<W> IntoInnerError<W> { #[stable(feature = "io_into_inner_error_parts", since = "1.55.0")] pub fn into_error(self) -> Error { /* 実装は省略 */ } }
IntoInnerError
を消費し、BufWriter::into_inner()
の呼び出し時に発生したエラーを返す。
error
メソッドとは異なり、内包するエラーの所有権を得ることが出来る。
サンプル
use std::io::{BufWriter, ErrorKind, Write}; let mut not_enough_space = [0u8; 12]; let mut stream = BufWriter::new(not_enough_space.as_mut()); write!(stream, "実際には書き込めない").unwrap(); let into_inner_err = stream.into_inner().expect_err("ここで小さすぎることが分かる"); let err = into_inner_err.into_error(); assert_eq!(err.kind(), ErrorKind::WriteZero);
std::io::IntoInnerError::into_parts
impl<W> IntoInnerError<W> { #[stable(feature = "io_into_inner_error_parts", since = "1.55.0")] pub fn into_parts(self) -> (Error, W) { /* 実装は省略 */ } }
IntoInnerError
を消費し、BufWriter::into_inner()
の呼び出し時に発生したエラー及び内包するwriterを返す。
単純に内包するエラーの所有権を得るためにも使えるが、より発展的なエラーからの復帰に使うことも出来る。
サンプル
use std::io::{BufWriter, ErrorKind, Write}; let mut not_enough_space = [0u8; 12]; let mut stream = BufWriter::new(not_enough_space.as_mut()); write!(stream, "実際には書き込めない").unwrap(); let into_inner_err = stream.into_inner().expect_err("ここで小さすぎることが分かる"); let (err, recovered_writer) = into_inner_err.into_parts(); assert_eq!(err.kind(), ErrorKind::WriteZero); assert_eq!(recovered_writer.buffer(), "書き込めない".as_bytes());
core::mem::MaybeUninit::assume_init_mut
impl<T> MaybeUninit<T> { #[stable(feature = "maybe_uninit_ref", since = "1.55.0")] #[rustc_const_unstable(feature = "const_maybe_uninit_assume_init", issue = "none")] #[inline(always)] pub const unsafe fn assume_init_mut(&mut self) -> &mut T { /* 実装は省略 */ } }
内包する値への(唯一の)可変参照を返す。
初期化済みだが所有権を持たないMaybeUninit
に(.assume_init()
を使わないまま)アクセスするために使える。
安全性
中身を完全に初期化しないままこのメソッドを使うのは未定義動作である。
つまりMaybeUninit<T>
が初期化された状態であることを保証するのは呼び出し側の責任である。
例えばMaybeUninit
を初期化するのに.assume_init_mut()
は使えない。
サンプル
このメソッドの正しい使い方
use std::mem::MaybeUninit; extern "C" { /// 入力バッファのバイト列**全て**を初期化する。 fn initialize_buffer(buf: *mut [u8; 1024]); } let mut buf = MaybeUninit::<[u8; 1024]>::uninit(); // `buf`を初期化 unsafe { initialize_buffer(buf.as_mut_ptr()); } // ここでは`buf`は初期化されているので`.assume_init()`を使える。 // しかし`.assume_init()`は1024バイトの`memcpy`を引き起こすことがある。 // バッファをコピーなく初期化することを確実にするため、 // `&mut MaybeUninit<[u8; 1024]>`を`&mut [u8; 1024]`に昇格させる。 let buf: &mut [u8; 1024] = unsafe { // SAFETY: `buf`は初期化済み buf.assume_init_mut() }; // `buf`は通常のスライス同様に使える buf.sort_unstable(); assert!( buf.windows(2).all(|pair| pair[0] <= pair[1]), "バッファはソート済み", );
このメソッドの間違った使い方
.assume_init_mut()
を使って値を初期化することは出来ない。
use std::mem::MaybeUninit; let mut b = MaybeUninit::<bool>::uninit(); unsafe { *b.assume_init_mut() = true; // 未初期化の`bool`に対して(可変の)参照を作った。 // これは未定義の動作である。⚠️ }
例えば未初期化のバッファに対してRead
することは出来ない。
use std::{io, mem::MaybeUninit}; fn read_chunk (reader: &'_ mut dyn io::Read) -> io::Result<[u8; 64]> { let mut buffer = MaybeUninit::<[u8; 64]>::uninit(); reader.read_exact(unsafe { buffer.assume_init_mut() })?; // ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ // 未初期化のメモリへの(可変)参照。 // これは未定義の動作である。 Ok(unsafe { buffer.assume_init() }) }
core::mem::MaybeUninit::assume_init_ref
impl<T> MaybeUninit<T> { #[stable(feature = "maybe_uninit_ref", since = "1.55.0")] #[rustc_const_unstable(feature = "const_maybe_uninit_assume_init", issue = "none")] #[inline(always)] pub const unsafe fn assume_init_ref(&self) -> &T { /* 実装は省略 */ } }
内部の値に対する共有の参照を取得する。
初期化済みだが所有権を持たないMaybeUninit
に(.assume_init()
を使わないまま)アクセスするために使える。
安全性
中身を完全に初期化しないままこのメソッドを使うのは未定義動作である。
つまりMaybeUninit<T>
が初期化された状態であることを保証するのは呼び出し側の責任である。
サンプル
このメソッドの正しい使い方
use std::mem::MaybeUninit; let mut x = MaybeUninit::<Vec<u32>>::uninit(); // `x`を初期化 x.write(vec![1, 2, 3]); // ここでは`MaybeUninit<_>`は初期化されており、共有の参照を作っても良い let x: &Vec<u32> = unsafe { // SAFETY: `x`は初期化済み x.assume_init_ref() }; assert_eq!(x, &vec![1, 2, 3]);
このメソッドの間違った使い方
use std::mem::MaybeUninit; let x = MaybeUninit::<Vec<u32>>::uninit(); let x_vec: &Vec<u32> = unsafe { x.assume_init_ref() }; // 未初期化のベクタに対する参照を作った。これは未定義の動作である。⚠️
use std::{cell::Cell, mem::MaybeUninit}; let b = MaybeUninit::<Cell<bool>>::uninit(); // `MaybeUninit`を`Cell::set`を使って初期化する unsafe { b.assume_init_ref().set(true); // ^^^^^^^^^^^^^^^ // 未初期化の`Cell<bool>`への参照:UB! }
core::mem::MaybeUninit::write
impl<T> MaybeUninit<T> { #[stable(feature = "maybe_uninit_write", since = "1.55.0")] #[rustc_const_unstable(feature = "const_maybe_uninit_write", issue = "63567")] #[inline(always)] pub const fn write(&mut self, val: T) -> &mut T { /* 実装は省略 */ } }
MaybeUninit<T>
の値を設定する。
これまでの値をドロップせずに上書きするため、デストラクタの実行を省きたい場合を除き、
このメソッドを2度呼び出すことが無いよう注意が必要である。
また、便宜のために(安全に初期化済みである)self
の中身への可変参照を返す。
assume_init
やassume_init_drop
などを呼び出さずにスコープを抜けた場合、
値はMaybeUninit
内に格納済であるため、内部データのデストラクタは実行されない。この関数から可変参照を受け取るコードはこのことに注意が必要である。
Rustの安全性モデルではリーク自体は安全と見做されるが、通常そういったものは望ましくない。
とは言えこの可変参照は他の可変参照と同様の挙動をするため、参照を通して新しい値を代入すれば古い中身はドロップする。
サンプル
このメソッドの正しい使い方
use std::mem::MaybeUninit; let mut x = MaybeUninit::<Vec<u8>>::uninit(); { let hello = x.write((&b"Hello, world!").to_vec()); // helloに設定する時、以前のメモリ割り当てはリークせずドロップする *hello = (&b"Hello").to_vec(); hello[0] = 'h' as u8; } // xは初期化済み let s = unsafe { x.assume_init() }; assert_eq!(b"hello", s.as_slice());
リークを伴うこのメソッドの使用例
use std::mem::MaybeUninit; let mut x = MaybeUninit::<String>::uninit(); x.write("Hello".to_string()); // 内部の文字列はリークする x.write("hello".to_string()); // xは初期化済み let s = unsafe { x.assume_init() };
このメソッドはいくつかのケースでunsafeを避けるために使用出来る。
下記の例ではピン留めされた参照を貸し出す、固定サイズのアリーナの一部実装である。
write
により生ポインタを通した書き込みを避けることが出来る。
#![feature(maybe_uninit_extra)] use core::pin::Pin; use core::mem::MaybeUninit; struct PinArena<T> { memory: Box<[MaybeUninit<T>]>, len: usize, } impl <T> PinArena<T> { pub fn capacity(&self) -> usize { self.memory.len() } pub fn push(&mut self, val: T) -> Pin<&mut T> { if self.len >= self.capacity() { panic!("満杯のPinArenaへのpushを試みた"); } let ref_ = self.memory[self.len].write(val); self.len += 1; unsafe { Pin::new_unchecked(ref_) } } }
array::map
#[lang = "array"] impl<T, const N: usize> [T; N] { #[stable(feature = "array_map", since = "1.55.0")] pub fn map<F, U>(self, f: F) -> [U; N] where F: FnMut(T) -> U, { /* 実装は省略 */ } }
self
と同じサイズの配列を、それぞれの要素に順に関数f
を適用して返す。
固定長配列である必要がない場合はIterator::map
の使用も検討されたい。
パフォーマンスとスタック使用量について
残念ながら、このメソッドは必ずしも最適化されているとは言えない。 これは主には巨大な配列に対してであり、小さい配列を写像する場合は十分最適化されるようである。 また、デバッグモード(例えば何も最適化しない場合)では大量のスタックが消費される場合がある(配列の数倍以上のサイズ)。
そのため、パフォーマンスが重要なコードでは巨大な配列でのこのメソッドの利用は避けるか、生成されたコードを確認すること。
また連続した写像も避けるべきである(arr.map(...).map(...)
など)。
ほとんどのケースでは配列で.iter()
や.into_iter()
を呼び出すことで、代わりにIterator::map
を使用出来る
(訳注:配列への.into_iter()
にはRust 2021 Editionが必要)。
[T; N]::map
が必要なのは、値として同じ大きさの配列が必須のときだけである。
Rustの遅延イテレーターは非常に良く最適化される傾向にあるのだ。
サンプル
let x = [1, 2, 3]; let y = x.map(|v| v + 1); assert_eq!(y, [2, 3, 4]); let x = [1, 2, 3]; let mut temp = 0; let y = x.map(|v| { temp += 1; v * temp }); assert_eq!(y, [1, 4, 9]); let x = ["Ferris", "Bueller's", "Day", "Off"]; let y = x.map(|v| v.len()); assert_eq!(y, [6, 9, 3, 3]);
core::ops::ControlFlow
#[stable(feature = "control_flow_enum_type", since = "1.55.0")] #[derive(Debug, Clone, Copy, PartialEq)] pub enum ControlFlow<B, C = ()> { #[stable(feature = "control_flow_enum_type", since = "1.55.0")] #[lang = "Continue"] Continue(C), #[stable(feature = "control_flow_enum_type", since = "1.55.0")] #[lang = "Break"] Break(B), }
操作が早期に終了すべきか、それとも通常通りに進むべきかを伝えるために使われる。
早期に終了するかどうかをユーザーに選択させたいもの(グラフの走査やVisitorなど)を公開する時に使う。
列挙型にすることで意味が――「false
って何の意味だっけ・・・?」と悩むことも無く――明確になり、また値を含ませることも出来る。
サンプル
Iterator::try_for_each
を早期に終了する。
use std::ops::ControlFlow; let r = (2..100).try_for_each(|x| { if 403 % x == 0 { return ControlFlow::Break(x) } ControlFlow::Continue(()) }); assert_eq!(r, ControlFlow::Break(13));
最小限のツリー走査
use std::ops::ControlFlow; pub struct TreeNode<T> { value: T, left: Option<Box<TreeNode<T>>>, right: Option<Box<TreeNode<T>>>, } impl<T> TreeNode<T> { pub fn traverse_inorder<B>(&self, mut f: impl FnMut(&T) -> ControlFlow<B>) -> ControlFlow<B> { if let Some(left) = &self.left { left.traverse_inorder(&mut f)?; } f(&self.value)?; if let Some(right) = &self.right { right.traverse_inorder(&mut f)?; } ControlFlow::Continue(()) } }
バリアント
Continue(C)
- 通常通りこの操作の次の過程に進む
Break(B)
- 残りの過程を実行せずにこの操作を終了する
core::arch::x86::_bittest
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(bt))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittest(p: *const i32, b: i32) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返す。
core::arch::x86::_bittestandcomplement
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(btc))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandcomplement(p: *mut i32, b: i32) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを反転する。
core::arch::x86::_bittestandreset
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(btr))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandreset(p: *mut i32, b: i32) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを0
にリセットする。
core::arch::x86::_bittestandset
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(bts))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandset(p: *mut i32, b: i32) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを1
にセットする。
core::arch::x86_64::_bittest64
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(bt))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittest64(p: *const i64, b: i64) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86-64のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返す。
core::arch::x86_64::_bittestandcomplement64
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(btc))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandcomplement64(p: *mut i64, b: i64) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86-64のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを反転する。
core::arch::x86_64::_bittestandreset64
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(btr))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandreset64(p: *mut i64, b: i64) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86-64のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを0
にリセットする。
core::arch::x86_64::_bittestandset64
#[inline] #[cfg_attr(test, assert_instr(bts))] #[stable(feature = "simd_x86_bittest", since = "1.55.0")] pub unsafe fn _bittestandset64(p: *mut i64, b: i64) -> u8 { /* 実装は省略 */ }
x86-64のみでサポートされる。
p
で示さるメモリの位置b
にあるビットを返し、そのビットを1
にセットする。
変更点リスト
公式リリースノートをベースに意訳・編集・追記をした変更点リストです。
言語
- 「以上」のレンジ(
X..
)を、数値X
から始まり最大値で終わることを意味するパターンとして書けるようになった
→ピックアップ std::prelude
を通して異なるエディションのpreludeを明示的にインポート出来るようになった(例:use std::prelude::rust_2021::*;
)
コンパイラ
※Rustのティアで管理されるプラットフォームの詳細はPlatform Supportのページ(英語)を参照
ライブラリ
- 標準ライブラリにおける浮動小数点のパースでEisel-Lemireのアルゴリズムを使うようになった。 この改善により、文字列の浮動小数点へのパースが全体的に高速化され、また特定の有効な値も拒絶されなくなり、 またstripされていない成果物のコードサイズが削減された
AsRef<str>
とAsRef<[u8]>
がstring::Drain
を実装するようになった
安定化されたAPI
※各APIのドキュメントを独自に訳した安定化されたAPIのドキュメントもご参照ください。
Bound::cloned
Drain::as_str
IntoInnerError::into_error
IntoInnerError::into_parts
MaybeUninit::assume_init_mut
MaybeUninit::assume_init_ref
MaybeUninit::write
array::map
ops::ControlFlow
x86::_bittest
x86::_bittestandcomplement
x86::_bittestandreset
x86::_bittestandset
x86_64::_bittest64
x86_64::_bittestandcomplement64
x86_64::_bittestandreset64
x86_64::_bittestandset64
また、以前から安定化されていたAPIのうち以下のものが定数化された。
Cargo
cargo test
などで並列にrustcを呼び出した際、ターミナルに出力される診断情報から重複したものを取り除くようになったcargo metadata
から出力されるパッケージの定義に、マニフェストの"default_run"
フィールドが含まれるようになったcargo doc
のエイリアスとしてcargo d
を使えるようにしたcargo tree
の形式化オプションとして、パッケージの"lib_name"
を出力するための{lib}
を追加した
Rustdoc
- 検索時に正確に一致したアイテムに移動するためのオプションを追加した。※訳注:URLのクエリとして指定するものであり、GUIから指定するものではない
- トレイトの「Implementors」セクションに余計なメソッド定義が表示されなくなった
- 「Trait implementations」がデフォルトで開かれるようになった。ブラウザの
CTRL+F
などで実装の検索がしやすくなる - Intra-docリンクにおいて、型エイリアス経由の関連アイテム(メソッドなど)が正しく解決されるようになった
#[doc(hidden)]
でマークされたトレイトが「Trait Implementations」セクションで表示されないようになった
互換性メモ
io::Error
を返す標準ライブラリの関数がErrorKind::Other
バリアントを返さないようになった。 これは、こういったユーザー由来のものではないエラーが、新規のより限定的なErrorKind
バリアントに分類されうることを反映している
→ピックアップ- Windowsにおいて、環境変数の名前を
process::Command
で使う時の動作が想定通りになった。 以前はCommand
で環境変数を使うとASCII文字が大文字に変換されていた - Rustdocが
rustdoc::
で始まらないrustdocのリントで警告を発するようになった
関連リンク
さいごに
次のRust 1.56は2021/10/22(金)に予定されています。
配列からHashMap
を構築出来るようになったり、定数関数内でtransmute
出来るようになったりするようです。
オプティムでは名作エンジニアを募集しています。
ライセンス表記
- この記事はApache 2/MITのデュアルライセンスで公開されている公式リリースノート及びドキュメントから翻訳・追記をしています
- 冒頭の画像中にはRust公式サイトで配布されているロゴを使用しており、 このロゴはMozillaまたはRust財団によってCC-BYの下で配布されています
- 冒頭の画像はいらすとやさんの画像を使っています。いつもありがとうございます
MIT License
Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy of this software and associated documentation files (the "Software"), to deal in the Software without restriction, including without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software, and to permit persons to whom the Software is furnished to do so, subject to the following conditions: The above copyright notice and this permission notice shall be included in all copies or substantial portions of the Software. THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS", WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING BUT NOT LIMITED TO THE WARRANTIES OF MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE AND NONINFRINGEMENT. IN NO EVENT SHALL THE AUTHORS OR COPYRIGHT HOLDERS BE LIABLE FOR ANY CLAIM, DAMAGES OR OTHER LIABILITY, WHETHER IN AN ACTION OF CONTRACT, TORT OR OTHERWISE, ARISING FROM, OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE SOFTWARE OR THE USE OR OTHER DEALINGS IN THE SOFTWARE.
Apache License
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For the purposes of this definition, "submitted" means any form of electronic, verbal, or written communication sent to the Licensor or its representatives, including but not limited to communication on electronic mailing lists, source code control systems, and issue tracking systems that are managed by, or on behalf of, the Licensor for the purpose of discussing and improving the Work, but excluding communication that is conspicuously marked or otherwise designated in writing by the copyright owner as "Not a Contribution." "Contributor" shall mean Licensor and any individual or Legal Entity on behalf of whom a Contribution has been received by Licensor and subsequently incorporated within the Work. 2. Grant of Copyright License. Subject to the terms and conditions of this License, each Contributor hereby grants to You a perpetual, worldwide, non-exclusive, no-charge, royalty-free, irrevocable copyright license to reproduce, prepare Derivative Works of, publicly display, publicly perform, sublicense, and distribute the Work and such Derivative Works in Source or Object form. 3. Grant of Patent License. Subject to the terms and conditions of this License, each Contributor hereby grants to You a perpetual, worldwide, non-exclusive, no-charge, royalty-free, irrevocable (except as stated in this section) patent license to make, have made, use, offer to sell, sell, import, and otherwise transfer the Work, where such license applies only to those patent claims licensable by such Contributor that are necessarily infringed by their Contribution(s) alone or by combination of their Contribution(s) with the Work to which such Contribution(s) was submitted. If You institute patent litigation against any entity (including a cross-claim or counterclaim in a lawsuit) alleging that the Work or a Contribution incorporated within the Work constitutes direct or contributory patent infringement, then any patent licenses granted to You under this License for that Work shall terminate as of the date such litigation is filed. 4. Redistribution. You may reproduce and distribute copies of the Work or Derivative Works thereof in any medium, with or without modifications, and in Source or Object form, provided that You meet the following conditions: (a) You must give any other recipients of the Work or Derivative Works a copy of this License; and (b) You must cause any modified files to carry prominent notices stating that You changed the files; and (c) You must retain, in the Source form of any Derivative Works that You distribute, all copyright, patent, trademark, and attribution notices from the Source form of the Work, excluding those notices that do not pertain to any part of the Derivative Works; and (d) If the Work includes a "NOTICE" text file as part of its distribution, then any Derivative Works that You distribute must include a readable copy of the attribution notices contained within such NOTICE file, excluding those notices that do not pertain to any part of the Derivative Works, in at least one of the following places: within a NOTICE text file distributed as part of the Derivative Works; within the Source form or documentation, if provided along with the Derivative Works; or, within a display generated by the Derivative Works, if and wherever such third-party notices normally appear. The contents of the NOTICE file are for informational purposes only and do not modify the License. You may add Your own attribution notices within Derivative Works that You distribute, alongside or as an addendum to the NOTICE text from the Work, provided that such additional attribution notices cannot be construed as modifying the License. You may add Your own copyright statement to Your modifications and may provide additional or different license terms and conditions for use, reproduction, or distribution of Your modifications, or for any such Derivative Works as a whole, provided Your use, reproduction, and distribution of the Work otherwise complies with the conditions stated in this License. 5. Submission of Contributions. Unless You explicitly state otherwise, any Contribution intentionally submitted for inclusion in the Work by You to the Licensor shall be under the terms and conditions of this License, without any additional terms or conditions. 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We also recommend that a file or class name and description of purpose be included on the same "printed page" as the copyright notice for easier identification within third-party archives. Copyright [yyyy] [name of copyright owner] Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License"); you may not use this file except in compliance with the License. You may obtain a copy of the License at http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0 Unless required by applicable law or agreed to in writing, software distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS, WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied. See the License for the specific language governing permissions and limitations under the License.