こんにちは、R&Dチームの齋藤(@aznhe21)です。 新オフィスは広くて快適です。
さて、本日4/8(金)にRust 1.60がリリースされました。 この記事ではRust 1.60での変更点を詳しく紹介します。
- ピックアップ
- 安定化されたAPIのドキュメント
- 変更点リスト
- 関連リンク
- さいごに
- ライセンス表記
ピックアップ
個人的に注目する変更点を「ピックアップ」としてまとめました。 全ての変更点を網羅したリストは変更点リストをご覧ください。
コンパイル時間を計測できるようになった
cargo build
などビルド系のコマンドに--timings
フラグを指定することで、ビルド時に掛かった処理時間が出力されるようになりました。
ビルド時間を短縮したい場合に役立ちそうです。
cargo build --timings
手元にあった大きめのプロジェクトをビルドするとこのようになりました。 これ以外にもCPU使用率やクレートごとの所要時間をテーブルで表示する機能などもあるため、一度試してみてはいかがでしょうか。
機能(features)で名前空間付き・弱依存がサポートされた
これまでは任意選択のクレートを機能として使うことはできましたが、 クレートと同名の機能を定義することはできませんでした。
[dependencies] chrono = "0.4" serde = { version = "1.0", optional = true } [features] # `--features serde`でserdeとchronoのserde機能を同時に有効化したいが、これはできない # serde = ["serde", "chrono/serde"]
Rust 1.60からはfeatures
セクションでクレート名部分にdep:serde
と指定することで、クレートと同名の機能を定義できるようになりました。
[dependencies] chrono = "0.4" serde = { version = "1.0", optional = true } [features] serde = ["dep:serde", "chrono/serde"]
また、dep:XXX
で指定されたクレートは暗黙的機能として定義されなくなります。
例えば下記Cargo.toml
を使用した場合、ravif
とrgb
は--features
に指定することができません。
[dependencies] ravif = { version = "0.6.3", optional = true } rgb = { version = "0.8.25", optional = true } [features] # この行を消すと`--features ravif`ができるようになる avif = ["dep:ravif", "dep:rgb"]
またfeatures
セクションでクレートの機能を選択した場合、そのクレートを任意のままにすることはできませんでした。
[dependencies] chrono = { version = "0.4", optional = true } serde = { version = "1.0", optional = true } [features] # `--features chrono`や`--features chrono,serde`としたときだけchronoに依存したいが、 # `--features serde`でもchronoに依存してしまう serde = ["dep:serde", "chrono/serde"]
Rust 1.60のCargoで導入された新しい構文chrono?/serde
により、任意のまま機能を選択できるようになりました。
[dependencies] chrono = { version = "0.4", optional = true } serde = { version = "1.0", optional = true } [features] # `--features serde`を指定してもchronoは使用されない # chronoも使用する場合は`--features chrono,serde`とする serde = ["dep:serde", "chrono?/serde"]
ちなみに依存クレートの関係を可視化するにはcargo tree
を使うと便利です。
$ cargo tree --features serde test v0.1.0 (...) └── serde v1.0.136 $ cargo tree --features chrono,serde test v0.1.0 (...) ├── chrono v0.4.19 │ ├── libc v0.2.122 │ ├── num-integer v0.1.44 │ │ └── num-traits v0.2.14 │ │ [build-dependencies] │ │ └── autocfg v1.1.0 │ │ [build-dependencies] │ │ └── autocfg v1.1.0 │ ├── num-traits v0.2.14 (*) │ ├── serde v1.0.136 │ └── time v0.1.43 │ └── libc v0.2.122 └── serde v1.0.136
コード網羅率を計測できるようになった
これまではcargo-tarpaulinやcargo-cov、cargo-kcovなど様々な計測ツールがありましたが、 外から観測する都合上不正確な計測結果になることがありました。
Rust 1.60でソースに基づくコード網羅率(source-based code coverage)が安定化され、コード網羅率をより正確かつ詳細に計測できるようになりました。
この新しい機能を使うにはRUSTFLAGS="-C instrument-coverage" cargo build
としてビルドした上でバイナリを実行します。
詳細な使い方はこちらの記事を参照してください(記事ではNightlyを使用しているため適宜読み替えてください)。
[u8]を文字列としてエスケープできるようになった
バイト列のスライスに対し、非ASCII文字はエスケープシーケンスで表して文字列化できるようになりました。 デバッグ時などバイナリデータを取り敢えず表示したいという場合に便利です。
fn main() { let data = "あ\r\nabc".as_bytes(); // ASCII部分は文字として、それ以外はエスケープシーケンス付きで表示される println!("{}", data.escape_ascii()); // \xe3\x81\x82\r\nabc }
安定化されたAPIのドキュメント
安定化されたAPIのドキュメントを独自に訳して紹介します。リストだけ見たい方は安定化されたAPIをご覧ください。
Arc::new_cyclic
impl<T> Arc<T> { #[cfg(not(no_global_oom_handling))] #[inline] #[stable(feature = "arc_new_cyclic", since = "1.60.0")] pub fn new_cyclic<F>(data_fn: F) -> Arc<T> where F: FnOnce(&Weak<T>) -> T, { /* 実装は省略 */ } }
生成中のArc<T>
への弱参照を使用するクロージャdata_fn
を使い、新しいArc<T>
を生成する。
一般的に、直接にしろ間接にしろ循環的に自己参照する構造体は、メモリリークを防ぐために強参照を保持するべきではない。
data_fn
では、T
の初期化時に弱参照を複製してT
に保持することであとから使用することができる。
Arc<T>::new_cyclic
が返るまではArc<T>
は完全に生成されないため、
弱参照によるupgrade
の呼び出しは失敗し、None
を返す。
パニック
data_fn
がパニックしたとき、そのパニックは呼び出し元に伝播する。
仮のWeak<T>
は通常通りドロップする。
サンプル
#![allow(dead_code)] use std::sync::{Arc, Weak}; struct Gadget { me: Weak<Gadget>, } impl Gadget { /// 参照カウント付きでガジェットを生成する。 fn new() -> Arc<Self> { Arc::new_cyclic(|me| Gadget { me: me.clone() }) } /// 自身への参照カウント付きポインタを返す。 fn me(&self) -> Arc<Self> { self.me.upgrade().unwrap() } }
Rc::new_cyclic
impl<T> Rc<T> { #[cfg(not(no_global_oom_handling))] #[stable(feature = "arc_new_cyclic", since = "1.60.0")] pub fn new_cyclic<F>(data_fn: F) -> Rc<T> where F: FnOnce(&Weak<T>) -> T, { /* 実装は省略 */ } }
生成中のRc<T>
への弱参照を使用するクロージャdata_fn
を使い、新しいRc<T>
を生成する。
一般的に、直接にしろ間接にしろ循環的に自己参照する構造体は、メモリリークを防ぐために強参照を保持するべきではない。
data_fn
では、T
の初期化時に弱参照を複製してT
に保持することであとから使用することができる。
Rc<T>::new_cyclic
が返るまではRc<T>
は完全に生成されないため、
弱参照によるupgrade
の呼び出しは失敗し、None
を返す。
パニック
data_fn
がパニックしたとき、そのパニックは呼び出し元に伝播する。
仮のWeak<T>
は通常通りドロップする。
サンプル
#![allow(dead_code)] use std::rc::{Rc, Weak}; struct Gadget { me: Weak<Gadget>, } impl Gadget { /// 参照カウント付きでガジェットを生成する。 fn new() -> Rc<Self> { Rc::new_cyclic(|me| Gadget { me: me.clone() }) } /// 自身への参照カウント付きポインタを返す。 fn me(&self) -> Rc<Self> { self.me.upgrade().unwrap() } }
slice::EscapeAscii
#[stable(feature = "inherent_ascii_escape", since = "1.60.0")] #[derive(Clone)] #[must_use = "iterators are lazy and do nothing unless consumed"] pub struct EscapeAscii<'a> { /* フィールドは省略 */ }
エスケープされたバイトスライスのイテレーター。
この構造体はslice::escape_ascii
で作られる。
詳細はそちらのドキュメントを参照されたい。
<[u8]>::escape_ascii
impl [u8] { #[must_use = "this returns the escaped bytes as an iterator, \ without modifying the original"] #[stable(feature = "inherent_ascii_escape", since = "1.60.0")] pub fn escape_ascii(&self) -> EscapeAscii<'_> { /* 実装は省略 */ } }
このスライスをASCII文字列として扱い、エスケープされた文字を返すイテレーターを返す。
サンプル
let s = b"0\t\r\n'\"\\\x9d"; let escaped = s.escape_ascii().to_string(); assert_eq!(escaped, "0\\t\\r\\n\\'\\\"\\\\\\x9d");
u8::escape_ascii
impl u8 { #[must_use = "this returns the escaped byte as an iterator, \ without modifying the original"] #[stable(feature = "inherent_ascii_escape", since = "1.60.0")] #[inline] pub fn escape_ascii(self) -> ascii::EscapeDefault { /* 実装は省略 */ } }
u8
をASCII文字として扱い、エスケープされた文字を返すイテレーターを返す。
ascii::escape_default
と同一の挙動をする。
サンプル
assert_eq!("0", b'0'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\t", b'\t'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\r", b'\r'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\n", b'\n'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\'", b'\''.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\\"", b'"'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\\\", b'\\'.escape_ascii().to_string()); assert_eq!("\\x9d", b'\x9d'.escape_ascii().to_string());
Vec::spare_capacity_mut
impl<T, A: Allocator> Vec<T, A> { #[stable(feature = "vec_spare_capacity", since = "1.60.0")] #[inline] pub fn spare_capacity_mut(&mut self) -> &mut [MaybeUninit<T>] { /* 実装は省略 */ } }
ベクタの余分な容量をMaybeUninit<T>
のスライスとして返す。
戻り値のスライスはset_len
メソッドでデータが初期化済みと示す前に、
(ファイルから読み出すなど)ベクタをデータで埋めるのに使用できる。
サンプル
// 10個の要素として十分な大きさのベクタを確保する let mut v = Vec::with_capacity(10); // 最初の3要素を埋める let uninit = v.spare_capacity_mut(); uninit[0].write(0); uninit[1].write(1); uninit[2].write(2); // ベクタの最初の3要素を初期化済みとして示す unsafe { v.set_len(3); } assert_eq!(&v, &[0, 1, 2]);
MaybeUninit::assume_init_drop
impl<T> MaybeUninit<T> { #[stable(feature = "maybe_uninit_extra", since = "1.60.0")] pub unsafe fn assume_init_drop(&mut self) { /* 実装は省略 */ } }
内包する値をその場でドロップする。
MaybeUninit
への所有権がある場合、代替としてassume_init
も使える。
安全性
MaybeUninit<T>
が本当に初期化状態であることを保証するのは呼び出し側の責任である。
内容が完全に初期化されていない場合にこのメソッドを呼び出すと未定義動作となる。
その上で、型T
(またはそのメンバ)のDrop実装が依存する可能性があるため、
T
におけるすべての更なる不変条件は満たされなければならない。
例えば、Vec<T>
に不正だが非NULLアドレスを設定した場合は初期化済みとされる(現在の実装の話であり、安定化された構成要件ではない)ものの、
これはVec<T>
でのコンパイラが知る要件はデータポインタが非NULLだけだからである。
そのようなVec<T>
をドロップすると未定義動作を引き起こす。
MaybeUninit::assume_init_read
impl<T> MaybeUninit<T> { #[stable(feature = "maybe_uninit_extra", since = "1.60.0")] #[rustc_const_unstable(feature = "const_maybe_uninit_assume_init_read", issue = "63567")] #[inline(always)] #[track_caller] pub const unsafe fn assume_init_read(&self) -> T { /* 実装は省略 */ } }
コンテナMaybeUninit<T>
から値を読み取る。戻り値のT
は通常通りのドロップ処理が行われる。
可能な限りassume_init
の使用が推奨される。
これによりMaybeUninit<T>
の内容を複製することを防ぐことができる。
安全性
MaybeUninit<T>
が本当に初期化状態であることを保証するのは呼び出し側の責任である。
内容が完全に初期化されていない場合にこのメソッドを呼び出すと未定義動作となる。
この初期化の不変条件については型レベルのドキュメント(※訳注:英語ページ)に詳しい。
さらにはCopy
トレイトを実装するかどうかに関わらず、この関数はptr::read
関数と同じく内容へのビット単位のコピーを生成する。
(assume_init_read
を複数回呼ぶか、assume_init_read
のあとにassume_init
を呼び出すなど)
データのコピーを複数回使う場合、実際にデータを複製しても良いかの確認は使用者の責任である。
サンプル
このメソッドの正しい使い方
use std::mem::MaybeUninit; let mut x = MaybeUninit::<u32>::uninit(); x.write(13); let x1 = unsafe { x.assume_init_read() }; // `u32`は`Copy`なので複数回readできる let x2 = unsafe { x.assume_init_read() }; assert_eq!(x1, x2); let mut x = MaybeUninit::<Option<Vec<u32>>>::uninit(); x.write(None); let x1 = unsafe { x.assume_init_read() }; // `None`の値を複製するのは構わないので複数回readできる let x2 = unsafe { x.assume_init_read() }; assert_eq!(x1, x2);
このメソッドの間違った使い方
use std::mem::MaybeUninit; let mut x = MaybeUninit::<Option<Vec<u32>>>::uninit(); x.write(Some(vec![0, 1, 2])); let x1 = unsafe { x.assume_init_read() }; let x2 = unsafe { x.assume_init_read() }; // 同一ベクタへの2つのコピーを生成したが、両方ともドロップした場合に二重解放⚠️となる
i{N}::abs_diff
impl i8 { #[stable(feature = "int_abs_diff", since = "1.60.0")] #[rustc_const_stable(feature = "int_abs_diff", since = "1.60.0")] #[must_use = "this returns the result of the operation, \ without modifying the original"] #[inline] pub const fn abs_diff(self, other: Self) -> $UnsignedT { /* 実装は省略 */ } }
self
とother
の絶対差を計算する。
この関数は符号なし整数によって常に正しい答えを返し、オーバーフローすることもパニックすることも無い。
サンプル
基礎的な使い方
assert_eq!(100i8.abs_diff(80), 20u8); assert_eq!(100i8.abs_diff(110), 10u8); assert_eq!((-100i8).abs_diff(80), 180u8); assert_eq!((-100i8).abs_diff(-120), 20u8); assert_eq!(i8::MIN.abs_diff(i8::MAX), u8::MAX);
u{N}::abs_diff
impl u8 { #[stable(feature = "int_abs_diff", since = "1.60.0")] #[rustc_const_stable(feature = "int_abs_diff", since = "1.60.0")] #[must_use = "this returns the result of the operation, \ without modifying the original"] #[inline] pub const fn abs_diff(self, other: Self) -> Self { /* 実装は省略 */ } }
self
とother
の絶対差を計算する。
サンプル
基礎的な使い方
assert_eq!(100u8.abs_diff(80), 20u8); assert_eq!(100u8.abs_diff(110), 10u8);
arch::is_aarch64_feature_detected!
macro_rules! is_aarch64_feature_detected { /* 実装は省略 */ }
AArch64でのみサポートされる。
このマクロはaarch64
の機能がaarch64プラットフォーム上で有効化されているかを実行時にテストする。
現在、ほとんどの機能はLinuxベースのプラットフォームでのみサポートされている。
このマクロはテストする機能を表す文字列リテラル1つのみを引数に取る。
機能の名前はほとんどがARM Architecture Reference Manual内のFEAT_*
から取られている。
サポートされている引数
"asimd"
or "neon" - FEAT_AdvSIMD"pmull"
- FEAT_PMULL"fp"
- FEAT_FP"fp16"
- FEAT_FP16"sve"
- FEAT_SVE"crc"
- FEAT_CRC"lse"
- FEAT_LSE"lse2"
- FEAT_LSE2"rdm"
- FEAT_RDM"rcpc"
- FEAT_LRCPC"rcpc2"
- FEAT_LRCPC2"dotprod"
- FEAT_DotProd"tme"
- FEAT_TME"fhm"
- FEAT_FHM"dit"
- FEAT_DIT"flagm"
- FEAT_FLAGM"ssbs"
- FEAT_SSBS"sb"
- FEAT_SB"paca"
- FEAT_PAuth (address authentication)"pacg"
- FEAT_Pauth (generic authentication)"dpb"
- FEAT_DPB"dpb2"
- FEAT_DPB2"sve2"
- FEAT_SVE2"sve2-aes"
- FEAT_SVE2_AES"sve2-sm4"
- FEAT_SVE2_SM4"sve2-sha3"
- FEAT_SVE2_SHA3"sve2-bitperm"
- FEAT_SVE2_BitPerm"frintts"
- FEAT_FRINTTS"i8mm"
- FEAT_I8MM"f32mm"
- FEAT_F32MM"f64mm"
- FEAT_F64MM"bf16"
- FEAT_BF16"rand"
- FEAT_RNG"bti"
- FEAT_BTI"mte"
- FEAT_MTE"jsconv"
- FEAT_JSCVT"fcma"
- FEAT_FCMA"aes"
- FEAT_AES"sha2"
- FEAT_SHA1 & FEAT_SHA256"sha3"
- FEAT_SHA512 & FEAT_SHA3"sm4"
- FEAT_SM3 & FEAT_SM4
変更点リスト
公式リリースノートをベースに意訳・編集・追記をした変更点リストです。
言語
"unwind"
と"abort"
による#[cfg(panic = "...")]
を安定化- 各数値型のサイズ及び
"ptr"
において、#[cfg(target_has_atomic = "...")]
を安定化
コンパイラ
x86_64-unknown-linux-gnu
において+crt-static
とrelocation-model=pic
の結合を有効化- ネストした、またはグロブによる公開再エクスポートにおいて、リント
unreachable_pub
が間違って反応するのを修正 -Z instrument-coverage
を-C instrument-coverage
として安定化
→ピックアップ-Z print-link-args
を--print link-args
として安定化- ターゲット
mips64-openwrt-linux-musl
をティア3※に追加した - ターゲット
armv7-unknown-linux-uclibceabi
をティア3※に追加した - ドキュメントコメントにおける改行の不正な削除を修正
- RustyHermit向けのカーネルターゲットを追加
- バイナリクレートとライブラリクレートの混在を拒絶するようになった
- rustcがデフォルトで
RUST_BACKTRACE=full
を使うようになった - LLVM 14に更新
※Rustのティア付けされたプラットフォームサポートの詳細はPlatform Supportのページ(英語)を参照
ライブラリ
sort_by_cached_key
の呼び出し順を保証するようになった- 指数と仮数を直接処理することにより、
Duration::try_from_secs_f32
/f64
の精度を改善した Instant::{duration_since, elapsed, sub}
がサチる(飽和する)ようになったInstant::now
における、単調増加しない時計向けワークアラウンドを削除したBuildHasherDefault
とiter::Empty
、future::Pending
を共変とした
安定化されたAPI
※各APIのドキュメントを独自に訳した安定化されたAPIのドキュメントもご参照ください。
Arc::new_cyclic
Rc::new_cyclic
slice::EscapeAscii
<[u8]>::escape_ascii
u8::escape_ascii
Vec::spare_capacity_mut
MaybeUninit::assume_init_drop
MaybeUninit::assume_init_read
i8::abs_diff
i16::abs_diff
i32::abs_diff
i64::abs_diff
i128::abs_diff
isize::abs_diff
u8::abs_diff
u16::abs_diff
u32::abs_diff
u64::abs_diff
u128::abs_diff
usize::abs_diff
Display for io::ErrorKind
From<u8> for ExitCode
Not for !
(the "never" type)- Op
Assign<$t> for Wrapping<$t>
arch::is_aarch64_feature_detected!
その他
- 類似したティア1プラットフォームのドキュメントを再利用してティア2プラットフォームのドキュメントを配信するようになった
- 完全プロファイルからrustcのドキュメントを排除した
- bootstrap:llvmのビルド向けにフラグ処理を整理した
Cargo
- cargoを
toml-rs
からtoml_edit
に移植した -Ztimings
を--timings
として安定化した
→ピックアップ- 名前空間付き機能(features)及び弱依存機能を安定化
→ピックアップ - ビルドスクリプト(※訳注:
build.rs
など)から、更にcargo:rustc-link-arg-*
を受け入れるようになった - サブディレクトリ内での
cargo-new
がCargo.lockを無視ルールに追加しないようになった
互換性メモ
- Androidにおいて、コンパイラーランタイムのリンク時ハックを削除した
Instant::now
での時計が単調増加しないプラットフォーム向け緩和策が削除された。 単調増加する時計を提供しないプラットフォームにおいては、 後から取得したInstant
が以前に取得したInstant
よりも大きくなる保証がなくなったInstant::{duration_since, elapsed, sub}
がアンダーフロー時にパニックしなくなり、代わりに0
で飽和するようになった。 実際にパニックが発生するのは単調増加する時計の実装にバグがあるプラットフォームがほとんどで、 開始時刻と終了時刻を逆にするようなプログラミングのミスを捉えることはできなかった。 こういったミスにおいては、パニックする代わりに結果が0
になるようになった- 将来のリリースにおいて、最低ラインの要求を、Linuxカーネルはバージョン3.2に、glibcは2.17に引き上げることを予定している。 PR #95026にてぜひフィードバックを!
内部の変更
これらの変更は直接ユーザーの利益に繋がるものではないが、rustc及び関連ツールにおける内部の改善や全体的なパフォーマンスの改善をもたらす。
関連リンク
さいごに
次のRust 1.61は2022/5/19(金)に予定されています。
std::io::stdin()
を変数に入れなくてもlock()
できるようになるようです。
オプティムでは解脱を目指すエンジニアを募集しています。
ライセンス表記
- この記事はApache 2/MITのデュアルライセンスで公開されている公式リリースノート及びドキュメントから翻訳・追記をしています
- 冒頭の画像中にはRust公式サイトで配布されているロゴを使用しており、 このロゴはMozillaまたはRust財団によってCC-BYの下で配布されています
- 冒頭の画像はいらすとやさんの画像を使っています。いつもありがとうございます
MIT License
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We also recommend that a file or class name and description of purpose be included on the same "printed page" as the copyright notice for easier identification within third-party archives. Copyright [yyyy] [name of copyright owner] Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License"); you may not use this file except in compliance with the License. You may obtain a copy of the License at http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0 Unless required by applicable law or agreed to in writing, software distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS, WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied. See the License for the specific language governing permissions and limitations under the License.