AIと共に“創る力”を育てる〜OPTiMデザインチームのAX実践〜

はじめに

はじめまして。OPTiMのプロモーション・デザインユニット(以下、プロモ・デザインU)のデザインチームです。
私たちは、ブランディングを軸に、オフラインイベントやパンフレット、パッケージデザインなど、幅広い社内外制作物を手がけるインハウスデザインチームです。

現在、世の中では生成AIの活用が急速に進んでいますが、OPTiMでは単なるツール導入にとどまらず、AX(AI Transformation) *1として全社的な活用を“企業文化”として根づかせる取り組みを推進しています。

たとえばデザインチームでは、感覚に頼りがちだった制作物の品質評価にAIと定量指標を組み合わせる仕組みを導入し、より高い精度と再現性を実現しています。
本記事では、そんなAI活用が日常的に根づく環境の中で、デザイン業務がどう変わっているのかをご紹介します。

全社的なAI推進の背景

OPTiMでは、業務効率化と価値提供の最大化を目的に、開発部門に限らずバックオフィス・営業・デザイン部門まで、部署横断でAI活用を進めています。

  • 各部門が自発的にAI活用とノウハウ共有に取り組み、相互支援の仕組みが形成されつつあります。
  • デザイン領域では、「効率化」だけでなく、以下の観点からAIの導入を進めています。
    • 品質の安定化
    • 再現性のある設計判断
    • 作業の標準化

デザイン領域における課題とAIアプローチ

私たちが目指しているのは、「AIを使うこと」そのものではなく、業務上の課題に対しAIがどう有効かという視点での活用です。
代表的な3つの課題とそのアプローチを紹介します。

課題①:誤植・表記ゆれ

  • 背景:社外向け制作物が多く、誤植はブランド信頼を損なう重大リスク。属人化した確認体制も課題。
  • AIアプローチ:生成AI(LLM*2)を活用して、文言チェックをテンプレート化+自動化。
    • 確認観点を標準化し、作業時間を約40%削減
    • 担当者による品質差の吸収にも効果あり。

課題②:印刷物の品質定量化が難しい

  • 背景:Webでは定量評価指標や評価システムが整備されている一方で、印刷物では視認性や効果の判断を各人の経験や感覚に頼ってきたため、フィードバック内容のばらつきや、品質の再現性に課題があった。
  • AIアプローチ
    • 世の中で公開されている視認性・アクセシビリティの評価指標(例:文字サイズ、コントラスト、余白など)から要素を抽出・印刷物向けに最適化し、定量的な評価指標でチェックできる仕組みを整備。
    • 視認性スコアの導入により、「なんとなく良い」から「論理的に良い」設計判断へ。
    • 属人的だったフィードバックのばらつきも軽減し、誰が見ても同じ基準で評価できる仕組みを実現。
▼導入例

実際に導入している視認性スコア管理の一例です。

  • 再現性を以て定量的なスコアリングが可能な独自シートを整備
  • 属人的におこなっていたチェックを半自動化
  • 経験則によるフィードバックも定量化され的確に

課題③:制作時間が限られる

  • 背景:少人数で多数案件を並行対応する体制上、初稿制作にかける時間を短縮したい。
  • AIアプローチ:構成案や会場図の初期ドラフトを画像生成AIやプロンプト設計で自動生成
    • 作業時間を50%以上短縮
    • 人はブラッシュアップに集中し、完成度とスピードの両立が可能に。
▼活用例(会場図自動生成)
  • 展示会の詳細な会場図を、AIによって構造のみを抽出した線画図に変換
  • 従来は手作業でトレースしていた工程を、SVG形式で出力し即編集・資料化が可能
  • レイアウトの把握・検討・社内共有のスピードと精度が大幅に向上


実感している変化と成果

1. 業務効率の向上

  • 確認・初稿作成などの単純作業をAIが代替することで、同時進行できる案件数が1.5倍に
  • デザインレビューや戦略的提案など、より付加価値の高い業務に時間を割けるように

2. 品質の安定化と可視化

  • スキルや経験に依存しない基準で、誰が担当しても品質が一定水準に
  • 感覚による判断から、スコア・数値による客観評価へ移行中

3. チーム内の意識変化

  • 「AIに仕事を奪われる」 → 「AIと共創し、自分の価値を再定義する」へ。
  • デザイン領域ならではのAX活用に意欲的なメンバーが増加中

まとめ・これからの展望

OPTiMでは、DX(デジタル変革)*3と同様に、AX(AI変革)も文化として定着させることを重視しています。

デザインチームもこの流れの中で、

  • 業種の枠にとらわれず
  • AIを“当たり前の手段"として取り入れ
  • より良いアウトプットを、より早く、より多く届けられる体制を整えています。

今後は、「AIが担うべき領域」と「人が担うべき領域」をより明確に切り分けながら、デザイン領域におけるAXモデルの確立と進化を図っていきます。


おわりに

オプティムでは、エンジニアだけではなくプロモ・デザインUで一緒に働いてくださるメンバーも探しています。 プロモ・デザインUでは、UI/UXデザインやブランディング、Web制作、マーケティングなどオプティム製品にまつわる様々なデザインのお仕事をしています。 UI/UX、ブランディング、Webプロモーションなどに興味がある方、ぜひご応募お待ちしています。

www.optim.co.jp

*1: AX(AI Transformation)|AIを“単なるツール”ではなく、“業務や文化の一部”として定着させる全社的変革の概念。DXのAI版。

*2: LLM(Large Language Model)|大規模言語モデル。自然言語での質問応答・文章生成などが可能なAI。

*3: DX(Digital Transformation)|デジタル技術を活用して、業務プロセス・企業文化・顧客体験などを根本から変革する取り組み。