1. こんにちは
こんにちは。OPTiMのプロモーション・デザインユニット(以下、プロモ・デザインU)です。 私たちは、ブランディングを軸に、オフラインイベントやパンフレット、パッケージデザインなど、幅広い社内外制作物を手がけるインハウスデザインチームです。
展示会は“数秒で立ち止まってもらう”勝負。にぎわう会場の裏側では、実は 来場者の心理の数歩先を設計する 微細な意思決定が積み重なっています。
今期、私たちは「マーケティング基盤の強化」に取り組んでいます。その一環として、展示会を“価値創出の投資先”と位置づけ、改善サイクルを回してきました。
本記事では、私たちデザインチームが2025年度携わった 展示会を、改善サイクルの観点で俯瞰し、 「見た目」ではなく「会話が生まれるまでの体験」をどう設計したかを共有します。 改善フローによる振り返りを通じて、その重要性を改めて確認できました。
2. 展示会デザインの共通フロー
今年度のデザインチームでは、全社戦略のマーケティング基盤強化の一環として展示会作業の引き継ぎを徹底しました。振り返りを重ねることで、出展プロダクトや担当デザイナーが変わっても回る “再現性”を備えたフローへと標準化されました。 展示会は個人技ではなくチーム戦。 営業・企画・デザインが同じ地図を持って動けるよう、以下のプロセスを共通言語にしています。 制作・改善サイクルの標準フロー
- 目的整理:誰の、どの課題に対して、何を達成するか
- 体験設計:立ち止まり → 声かけ → 誘導 → 製品説明 → 次アクション(名刺/QR/予約)までの導線を“チーム戦”で構築
- ビジュアル制作:共感コピー、視認性、情報の引き算、信頼性を担保(事例ロゴ・認証マーク) └ 品質担保として、WCAG2.0を参考にAIツールで配色・可読性を定量評価(展示会環境へ応用)
- 現場検証:役割分担・ノベルティ・動画演出・位置取りを含むオペレーション確認
- 振り返り:良かった点/改善点/KPI差分の要因分析 → 次回アクションに反映

3. 今年デザインチームが関わった展示会一覧
CSPI-EXPO 2025 第7回 国際 建設・測量展 /2025年6月18日-21日 国際ドローン展/2025年7月23日 DXPO東京【夏】(IT・情シス領域)/2025年8月22日 AI-PAX 2025/2025年10月15日-16日 DXPO東京【秋】(営業・マーケ領域)/2025年11月27-28日 Japan Build TOKYO/2025年12月10日-12日
予定 第78回済生会学会 令和7年度済生会総会 - コングレ/2026年2月14日-15日 DX総合EXPO 2026/2026年2月19日-20日 Japan IT Week/2026年4月 ※本文では、レポートで詳細観察があるDXPO(夏/秋)・AI-PAX・CSPIを中心に要点を紹介します。
4. 各展示会の観察と示唆
DXPO東京【夏】
展示会の特徴や規模感
- 第1回 IT・情シスDXPO東京’25【夏】(8月22日開催)
- 来場者は意思決定者から実務担当者まで幅広い層
- 他社ブース視察を中心に、集客や営業導線の工夫を観察
デザイン戦略(ターゲット・体験設計・ビジュアル)
- ターゲット:IT・情シス領域の担当者
- 目的:AI・DXに関心はあるが具体像を持てていない情シス担当者に対し、 自社課題と結びつけてサービスを理解できる顧客接点をつくること
- 体験設計:立ち止まりやすい仕掛け(視線誘導)、声かけ→誘導→説明のチーム戦
- ビジュアル:視認性を高める統一感ある色味、上部パネルで遠距離から目立つ構成
良かった点、改善点、現場での気づき
- 良かった点:色味・構成に統一感あり、視認性◎。上部パネルで目立ちやすかった
- 改善点:パネル・チラシの情報量が多く、初見で「自分向け」と感じにくい → 課題ベースのコピーに再構成、ノベルティ活用検討
- 気づき:他社は問いかけ型コピー・ノベルティ・動画演出を活用。動画は「静かな営業ツール」として有効
成果
遠距離視認を意識したパネル設計と会話導線を組み込んだブース構成により、 「立ち止まり→会話」までの導線の明確化に寄与し、来場者との会話が生まれやすい環境づくりを後押しした。 展示会施策は、デザインの成果を直接数値化することが難しく、これまで定性的な振り返りに留まりがちでしたが、今回は結果として321件の商談接点が記録され、接点単価は約8,100円となった。 外部比較による評価ではなく、次回出展に向けて数値ベースで振り返れる状態になった点も一つの成果と捉えている。

遠距離視認を意識したパネル構成
AI-PAX 2025
展示会の特徴や規模感
- 10月16日開催、東京ベルサール日本橋
- AI技術の実践活用をテーマに、エンジニア・企画・バックオフィスなど幅広い来場者
- ゾーン構成:カスタムAI/売上拡大AI/業務効率化AI/AIコンサル・人材支援/データ整備・活用
デザイン戦略(ターゲット・体験設計・ビジュアル)
- ターゲット:AI活用を検討する企業担当者
- 目的:コスト効率を意識しつつ、有効リードの獲得を高める
- 体験設計:Eightアプリで事前マッチング、会場でAI診断やルート案内
- ビジュアル:パネルとチラシのみの作成、その他の装飾は無し
良かった点、改善点、現場での気づき
- 良かった点(他社事例):俯瞰できるパネル構成で滞在時間を長区しているブースがあった/無装飾でも取り組んでいる内容で人が集まるブースもあった
- 改善点:制作物の数が少ない分、パネルに情報を詰め込んでしまったため「結局何ができるサービスなの?」と聞かれることが多く、情報過多になっていた
- 気づき:「何もない」ことが逆に好奇心を刺激するケースあり。来場者の課題に寄り添う姿勢が重要
成果
制作物について、情報過多になっていたものの、社内からは説明のしやすさには定評があった。また、全体のブースが簡素で、会場もそれほど広くない展示会では、ブースの装飾や目立たせ方よりも、「どの分野で出展するか」や「来場者がいま注目しているポイント」を見極め、それに合った製品を出すことが重要だとわかった。
情報の引き算で“伝わる”デザイン
CSPI-EXPO 2025 第7回 国際 建設・測量展
展示会の特徴や規模感
2025年6月18日-21日
- 建設・測量 生産性向上展
※土曜開催は一般来場者・ファミリー向け
デザイン戦略(ターゲット・体験設計・ビジュアル)
- ターゲット:建設業界関係者+一般来場者
- 目的:建設DXに関心はあるものの具体的な価値や活用イメージを掴めていない来場者が、製品・サービスの理解不足や体験不足による検討前離脱を防ぐため、自社の業務課題と結びつけてサービス価値を理解できる体験型の顧客接点を創出すること
- 体験設計:マイクパフォーマンスを起点から業種ごとに3つのメッセージに分岐(調査・測量・設計/施工・管理/インフラ維持管理)導線を意識、 土曜日の一般来場者向けには子ども連れでも入りやすいように輪投げゲームにうまい棒の景品を付ける
- ビジュアル:属性にあった人のビジュアルを大きく表示し、自分ごととして捉えられるようにする。 色分けをして誘導しやすい設計、メインコピーである「スマホ測量の限界突破」とブースの斜めを生かし、グラフィックに傾斜をつけて突破感を演出。
良かった点、改善点、現場での気づき
- 良かった点: 振り返り会での意見:属性別にデザインと色分けを行ったことで、来場者の導線が分かりやすく、スムーズな誘導につながった。 製品年表は説明時の補助資料として活用頻度が高く、会話のきっかけづくりに有効だった
- 改善点: 振り返り会での意見:隣接ブースの視覚的な強さもあり「もう一段階インパクトが欲しい」という声が挙がった。 一部の文字サイズが小さく、遠目では情報が伝わりにくい箇所があった
- 気づき:競合ブースは「できること」を端的に列挙しており、初見の来場者にも理解しやすい構成になっていた。 他社の展示では、建設らしくショベルカー乗車、ロボット操作、記念撮影など体験導線が豊富で、参加型コンテンツが来場者の滞在時間を伸ばしていた
成果
営業・運営と連携した導線設計により、属性別メッセージの提示から誘導、説明へと至る流れを整理し、来場者が立ち止まってから説明へ移行するまでの導線の明確化に寄与した。
展示会全体では、名刺交換やヒアリング対応を含む接点として昨対206%を記録し、約8割が高中確度となった。約8割が高中確度となった。導線を整理したことで、来場者の属性ごとの接点の偏りがより明確に捉えられる状態となり、今回の取り組みの一つの結果として位置づけている。
属性別デザインと体験導線で滞在時間UP
DXPO東京【秋】
展示会の特徴や規模感
- 営業・マーケ DXPO東京’25【秋】(11月27-28日)
- 会場:有明G-MEX
- 来場者はマーケティング職・SE職が中心
デザイン戦略(ターゲット・体験設計・ビジュアル)
- ターゲット:営業・マーケ担当者、IT・情シス
- 目的:製品により興味を持っている来場者のみにアプローチをかけたいという営業部からのニーズをもとに、印刷物の構成やコピーを見直し来場者のフィルタリングを行った
- 体験設計:AI-PAXでの経験を踏まえて、コピーや図で「どんなサービスなのか」をよりはっきりと訴求
- ビジュアル:大きな文字で視認性確保、事例ロゴで信頼補強、視認性と情報量のバランスを重視
良かった点、改善点、現場での気づき
- 良かった点:視認性◎、事例ロゴ活用で信頼感アップ、立ち止まって読んでいる方も多く
- 改善点:来場者数不足がKPIに影響 → イベント選定時にアクセス性等を事前評価
- 気づき:他社はタペストリー採用でサステナブル対応。人気分野はデジタルマーケ/SNS運用支援
成果
立ち止まってパネルを読むお客様が増え、商品への関心がより高いお客様と会話することができたという評価を営業チームからもらえた。
コピー刷新と事例ロゴで信頼感を強化
5. 共通の学び
4つの展示会を横並びで見直すと、成功の背景には共通パターンがありました。 ▼ 体験設計の重要性 「立ち止まり → 声かけ → 説明 → 次アクション」という流れを、営業・デザイン双方で連携しながらチーム戦で設計することが成果につながるとわかりました。 ▼ コピーと情報設計の工夫 課題起点の問いかけ型コピーや、情報を絞り込む引き算のデザインは、来場者の理解を促進します。さらに、事例ロゴや認証マークなど信頼性を補強する要素も効果的でした。 ▼ 動画・ノベルティの役割 動画は「静かな営業補助」として、説明のタイミングを待つ間に情報を届ける手段として有効です。また、ノベルティや体験型コンテンツは、声かけのきっかけづくりに役立つと考えられます。 ▼ デジタル連携とサステナブル対応 QRコードやEightアプリなどのデジタル連携は、名刺交換や情報取得をスムーズにします。さらに、タペストリーなどサステナブル資材の採用は、企業姿勢を示す要素として注目されました。

6. 次回に向けたアクション
次回以降の展示会で学びを即実装するため、改善案をテーマ別に整理しています。
- コピー刷新:課題起点・問いかけ型のコピーに再構成
- ビジュアル再設計:情報の引き算+事例ロゴで信頼性を強化
- 営業チームとの事前連携:役割分担や動線設計を事前に調整
- ノベルティ・動画演出の活用:声かけのきっかけと補助ツールとして活用
- サステナブル資材の導入検討:環境配慮をデザインに反映
- イベント選定基準の明確化:アクセス性や集客力を事前評価
7. まとめ
展示会の勝負は、ブース前の数秒で決まります。 しかし、その数秒を生み出すのは、数週間の準備とチームの連携です。 本記事では、現場での観察と振り返りから得た学びを、次に生かすための具体策として整理しました。 “会話が生まれるまでの体験設計”を軸に、私たちはこれからも展示会をより効果的な顧客接点へと磨き続けます。
8. おわりに
オプティムでは、エンジニアだけではなくプロモーション・デザイン・ユニットで一緒に働いてくださるメンバーも募集しています。プロモーション・デザイン・ユニットではUI/UXデザインやブランディング、Web制作、マーケティングなどオプティム製品にまつわる様々なデザインのお仕事をしています。
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