こんにちは
プロモーション・デザインユニット(以下プロモ・デザインU)の清水です。 前回はデザインシステムのライティングについて書きましたが、今回は2025年10月24日(金)、株式会社Helpfeel 東京本社にて、「~エンジニア視点で議論する~ 次世代デザインシステムへの現在地」にデザイナーの清水とエンジニアの高橋が登壇させていただいたので、そのイベントレポートをお届けいたします。 tech-blog.optim.co.jp
合同トークイベントについて

「~エンジニア視点で議論する~ 次世代デザインシステムへの現在地」では、実際にデザインシステムを活用しているサイボウズ株式会社・株式会社サイバーエージェント・オプティムの3社が、エンジニア視点でのデザインシステムの必要性、実運用で工夫していることや課題、そして、技術進化を踏まえたこれからのデザインシステムの理想像について共有をすることを目的として開催されました。参加申し込みは事前予約ですでに満員となり、発表後の3社代表のパネルディスカッションについても、各社の規模や導入フェーズが異なる実例から、自社に最適なデザインシステムの始め方や運用方法など、最後まで充実した内容のイベントとなりました。
[LT1]コンポーネントライブラリのその先へ:デザインシステムの可能性(サイボウズ:釜堀さん)
サイボウズさんは、デザインシステムの運用における課題と、AIを活用した改善の試みについてお話しされました。
これまでの運用は、依頼ベースの対症療法的な対応が中心で、根本的な課題解決には至っていないと感じている中で、AIを活用した抜本的な改善の可能性について言及されていました。具体的には、MCPサーバーを構築し、FigmaからUI情報を取得して自動実装する取り組みを紹介。ただ、これにより開発速度は向上するものの、Figma通りに実装されているかの確認や修正に手間がかかるケースもあり、手動の方が効率的な場合もあるという共感が得られました。
また、デザイナー自身がUIを実装するという選択肢についても議論されていました。実装経験のあるデザイナーは少ないものの、AIの支援によってそのハードルが下がり、表層部分の実装を担うことが現実的になりつつあるとのことです。
今後の展望としては、デザイナーがエンジニア領域に踏み込むことで部署間の連携が促進され、開発フローやチームフローの抜本的な見直しにつながる可能性があると語られましたが、AIが理解しやすいナレッジの整備も、今後のデザインシステム運用において重要なテーマとなりそうです。最後に「AIの活用によって職種間のコミュニケーションコストを削減できる可能性があることが、今後の取り組みの大きな指針になる」とまとめられていました。
[LT2]Spindle あってよかった10のこと(サイバーエージェント:原さん)
Spindleデザインシステムの導入によって得られるメリットとして、ブランド品質の一貫性やアクセシビリティの初期対応、実装のスピード向上、資産の横展開のしやすさなど、プロダクトの品質やユーザー体験に直結するものなどが挙げられました。
さらに、デザインとエンジニアリングの連携が深まり、共通言語によるレビューが可能になることで、チーム内の協働がスムーズになっている点も強調されていました。こうした取り組みは、デザイン組織全体のスキル向上やナレッジの蓄積にもつながっており、過去の実装を参考にしながら効率的な開発が可能になっているそうです。 また、アクセシビリティ対応の一括更新や、AI導入の基盤としての活用も進んでおり、MCPツールを通じてコンポーネントやドキュメントの管理・更新が自動化されつつあるとのことです。これらの成果は業界内でも評価されており、ナレッジ共有やグッドデザイン賞の受賞など、外部とのつながりにも発展しています。 これらのメリットは大きく分けて、「品質・ユーザー体験の向上」「開発・運用効率の改善」「組織・チーム連携の強化」「業界との接点・評価」の4つの属性に整理でき、デザインシステムが企業全体に広く価値をもたらしていることがよく伝わる内容でした。
[LT3]デザインとエンジニアリングの懸け橋を目指すオプティムのデザインシステム「nucleus」の軌跡と広げ方(オプティム:清水、高橋)
デザインとエンジニアリングの架け橋を目指す OPTiMのデザインシステム「nucleus」の軌跡と広げ方 前半は清水からUIデザイナー側面からの立ち上げの背景を、後半は高橋からエンジニア側面からの立ち上げ・AI連携で実践していることについて発表しました。 社内製品のUI/UXの一貫性とブランド価値を高めるため、2023年から社内デザインシステム「nucleus」の立ち上げに取り組んできました。UIデザイナーと開発チームが連携し、約1年半かけて調査・設計・運用体制の整備を進め、2024年には社内公開とプロダクト導入を開始。現在では19製品に展開されています。
導入にあたっては、製品ごとに異なる技術スタックや工数の制約といった課題もありましたが、エンジニア有志による検証と工夫により、トークン補助ライブラリの開発や段階的な導入を実現。特に、Figmaを中心とした運用と、Style Dictionaryを活用したトークン管理により、既存の仕組みを壊さず柔軟に展開できる取り組みを紹介。
さらに、AIとの連携も進めており、MCPサーバーやAIレビュー支援ツールなどを通じて、デザインシステムの資産を活用した開発支援の仕組みづくりにも挑戦中です。今後は、資料化・コンポーネント化・社内浸透の3つを軸に、より多様な製品や環境に対応できるようアップデートを進めていく予定です。
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、司会をsakuさん(サイボウズ)がつとめてくださり、資料発表した釜堀さん(サイボウズ)・原さん(サイバーエージェント)・高橋(オプティム)の3名が3つのテーマについて意見を出し合いました。
標準技術の進化を「モノ」にするために工夫していることは?
標準技術の進化は速く、現場では「使える形」に落とし込む工夫が求められている中で、各社のデザインシステムのステージに合わせた内容が出てきました。 コンポーネントライブラリやドキュメントなどのガイドライン単位の話はなく、「製品開発フローにおける問題」を解決するためにどう現在の工程へ取り込む工夫をするか?が三社三様であると感じました。
AIとデザインシステム、どうコラボレーションしている?
発表の中でも、「これから」を語る上で「AI」とのコラボレーションはすでに語られていました。AIがアウトプットしたものをそのまま使うというよりはAIはあくまで「補助者」としての役割が強く、最終的にはAIを生かした「デザイナーとエンジニアのコラボレーション」が中心であり、そのために誰でも使えるようになることが肝心のようです。
技術進化を踏まえたこれからのデザインシステムの理想像は?
デザインシステムは絶えず時代に合わせて変化していくものであり、「完成形」はないという印象でした。現在のツールが数年後も主流であるとは限らないという側面を考慮した上で、ある程度は独自での仕組みを検討しツールに依存しすぎない柔軟性のある仕組みを常に考え続ける必要があると考えさせられました。
参加して感じたこと・学び
私ごとですが、今回初めて登壇側で勉強会に参加したため、とても緊張しながらの発表になりました…! オプティムは2社さんと比べ、立ち上げが比較的最近で初々しいデザインシステムであったおかげか、参加者のまだデザインシステムを導入検討中の方や導入したばかりの同じような課題を抱えている人たちには、とても興味・関心を持っていただけたように感じました。 AIの進化というテーマはエンジニア・デザイナーにとって切っても切りきれないテーマであり、これからのデザインシステムにも深く関わるというのは各社の共通の課題であり、希望であるように思えました。 また、開催後のネットワーキング(懇親会)では、発表に関するさまざまな質問をいただき嬉しい反面、考えきれておらず耳が痛いご指摘もあり、これらの質問に回答できるようにデザインシステム進化させておきたいなと身が引き締まりました。 終わりに 大変有意義なイベントへ登壇することができました!参加者の皆様、準備・ご協力くださったサイボウズ株式会社・株式会社サイバーエージェントの皆様、快く会場提供していただけた株式会社Helpfeelの皆様のおかげです。ありがとうございました。
オプティムが開催する勉強会は今後も connpass で適宜告知していきますので、内容に興味がある方はもちろん、オプティムそのものに興味がある方もぜひご参加ください!オプティムのスタッフは皆様とお話できることを心よりお待ちしています。