try! Swift Tokyo 2025に参加してきました

こんにちは! OPTiM Biz開発チームの山田、北川、片岡、宍戸です。 今回はtry! Swift Tokyo 2025に参加してまいりましたので、会場の雰囲気や内容をレポートします!

try! Swift Tokyo 2025について

try! Swiftは、iOS/Swiftエコシステムに焦点を当てた国際的な開発者カンファレンスです。2016年に東京で始まり、その後ニューヨーク、ベンガルール、サンノゼなど世界各地で開催される国際的なSwiftカンファレンスに発展しました。2018年にはAppleのSwiftNIOチームによる世界初の発表の場となり、2019年にはWWDCでSwiftの重要なコミュニティとして紹介されるなど、Swiftエコシステムにおいて重要な位置を占めています。カンファレンスでは世界中のエキスパートによる20分間のプレゼンテーションが行われ、iOS/iPadOS開発からServer-Side Swiftまで幅広いトピックがカバーされ、スピーカーとの1対1でのオフィスアワーも設けられている点が特徴です。

try!Swiftのロゴ

try! Swift Tokyo 2025は立川ステージガーデンで開催されました。

立川ステージガーデンの会場写真

会場の様子

try!Swiftの写真スポット 会場で配られているお菓子

KiNTOさんのブース写真 発表写真

気になったセッション

山田

Gui Ramboさんの「Appleプラットフォームにおけるセキュリティリサーチとバウンティハンティング入門」について

エシカルハッカーとは、システムを善意で探求する専門家であり、一般的なハッカーのイメージとは異なる存在です。その主な活動としてバグバウンティプログラムへの参加があり、Appleの場合では発見した脆弱性の重要度に応じて最大200万ドルの報奨金が支払われることがあります。

技術面では、ソフトウェアの解析やアセンブリコード、iOSのコードの解読など、リバースエンジニアリングのスキルが重要となります。システムの実装を深く理解することで、Zero-Day脆弱性などの重要な問題を発見することができます。

キャリアとしては、開発者としての技術的成長や、バグバウンティによる収入機会が得られるだけでなく、企業のセキュリティ向上に直接貢献できる意義深い職種として注目されています。

リバースエンジニアリングにてスキルを向上し、それによってバグを見つけることでバグバウンティとして報酬を貰えるというのがわくわくしました。

片岡

Noah Martinさんの「宇宙人を探して」について

天文学のドレイク方程式(地球外文明の数を推定する数式)をソフトウェア開発に応用する斬新な視点が印象的でした。例えば、アプリの起動時間改善では「改善した時間×アプリの起動回数」、環境負荷では「ダウンロードサイズ×ダウンロード数×MBあたりのカーボンフットプリント」という掛け算的な波及効果があることを学びました。一見小さな改善でも、大規模なユーザー基盤では大きなインパクトとなります。

私が担当するOptim Bizのような大規模サービスでは、0.001msの処理改善でも、数万ユーザーの利用を考えると無視できない影響となります。また、コードの簡潔さがバグの低減やテストコストの削減にも繋がるという指摘は、日々の開発実務に直接活かせる示唆でした。

このセッションを通じ、些細なコード変更でも大規模環境での影響を常に意識する重要性を再確認できました。スケーラビリティを考慮した開発の本質を理解する良い機会となりました。

北川

rocknameさんの「Swiftコード生成の可能性」について

Swiftマクロの制限についての言及とその制限を補う形でPluginとSwiftSyntaxを組み合わせることでコード生成が可能になるということ、「sword」というライブラリを用いてDIコンテナを自動生成する仕組みについてのセッションでした。

SwiftSyntaxBuilderを用いた構文木ベースのコード生成の実装です。構文木を使うことで可読性が高く、拡張や保守も容易な点が魅力的でした。また、DI構築をプラグインと構文解析を組み合わせることで再現していた点が非常に興味深かったです。

SwiftSyntaxを用いた構文解析やコード自動生成の手法を共通化された処理の生成に活用できそうだと感じました。例えば、アノテーションに応じてシリアライズ処理やデフォルト実装を自動生成することで開発効率とコード品質の担保ができそうなので、試してみようと思いました。

本セッションを通じて、Swiftにおけるコード生成の可能性とその実践的な方法を学べました。 今後の開発における効率化や設計にむけたヒントを得る貴重な機会となりました。

宍戸

Krzysztof Zablockiさんのモジュラーなデータパイプライン設計について

このセッションでは、データパイプラインを「DataSource」「Transform Node」「Consumer Node」の3層に分け、それぞれをモジュール化する設計が紹介されました。 各層が独立していることで、保守時の変更リスクが最小化され、テストも層単位でスタブやモックを使って柔軟に実施できます。

印象的だったのは、それらを意識して開発されたバグ再現ツール「Oxnap」の導入です。Oxnapはユーザー操作を記録し、再現性の高い状態で障害を再現することで、特に問題調査やUIまわりのバグ修正に非常に有効になっています。Zablockさんのプロジェクトは海外ユーザーも多くいたため、国内外の状況を忠実に再現可能になり、保守性を高めていました。 私は実務では問い合わせ対応なども行うため、事象を再現するということが非常に重要になります。 このようなツールがあることで多くのユーザーを抱えるプロダクトにおける顧客満足度の向上などにも繋がっていける部分で印象が強くありました。

実務でこうした構成は保守・テスト性を飛躍的に高め、障害調査や変更対応を効率化します。 セッションの中で紹介されたツール群が全てオープンソースである点も、導入のしやすさという観点で非常に魅力的だと感じました。

おわりに

try! Swift Tokyo 2025への参加を通じて、最新のSwift開発トレンドや実践的な技術情報を得ることができました。

ここで得た知見を、チームの開発プロセスや技術力向上に活かしていきたいと思います。 来年のtry! Swift Tokyoも非常に楽しみです!

OPTiMには、iOSアプリケーション開発だけでなく、多方面で高い技術力を持つエンジニアが多く在籍しています。 そんな方々と共に「ネットを空気に変える」を実現するプロダクトの開発を進めていきませんか? ご興味のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

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