リフレクション会のススメ

AI・IoTサービス開発部 開発マネージャーの高村です。

今回の記事では、IoTサービス開発ユニットが行っている、経験学習モデルを利用したリフレクション会について書こうと思います。

なぜ経験学習を導入しようとしたのか

エンジニアはプロジェクトにアサインされ、担当した業務の中で経験を積むことが、成長するひとつの要因となります。

開発方法の検討や様々な障害が発生した時の問題解決、顧客やチーム間の調整など、プロジェクトの中で日々多くの経験を積むことになりますが、経験を積みながら早く成長するエンジニアがいます。

その違いは「経験から学ぶ力」と「経験する機会」にあるのかもしれません。

経験をする機会の提供と経験から学ぶ力を支援することによって、エンジニアに早く成長してもらいたいし、イノベーションを一緒に起こせるエンジニアになってもらいたい。

その願いを持って経験学習をモデルを導入し一緒に実践を行っています。

経験学習モデルとは

業務の中で具体的な経験を得えた上で、その経験に対して自分自身の心と向き合い、自分の考えや行動に対して省みます。

大切なことは、内省とは反省をするということではありません。自分自身と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気づきを得ることにあります。そこから、次回もこうすればうまくいくという成功経験、次はここをケアすればうまくいくはずという経験から教訓を得ます。その教訓を次回の業務の中で適用し、経験学習の循環を作ります。

まずは挑戦する機会を作る

「できることばかりの仕事をやり続けず、新しい知識やスキルが必要になる仕事に挑戦する。またその機会を作る。」

エンジニアはその時持っている能力にあった仕事をやり続けるのではなく、少し背伸びした仕事にチャレンジしてもらいたいと思っています。チャレンジングな仕事や新しい仕事をすると、その時に持っていない新しいスキルや知識が必要になります。

また、エンジニアだからといって開発力だけが能力ではありません。

例えばファシリテートも大事な役割です。人前で話すのが苦手とか、ミーティングを進行するのが苦手とかあると思います。

最初は苦手意識があるかもしれないですが、ファシリテートにチャレンジしてみる。ファシリテートをすることで今までと違った見方ができたり 新しい発見があるかもしれません。

このように、挑戦することで新しい知識やスキル、気づきを得る機会ができるようになります。

リフレクション(振り返り)

「成功した経験や思い通りにいかなかった経験を振り返り、教訓を引き出し、記憶の中に刻み込む」

一日の終わりやプロジェクトの終わりに振り返りを行うことで、どのような経験だったのか、その経験から何を学んだのかを考えることで、成功経験や思い通りにいかなかった経験から教訓を得ることが可能になります。

成功経験であれば、次回も同じようにすることで同じように成功しやすくなるでしょうし、思い通りにいかなかった経験であれば、その教訓から次回、思い通りにいきやすくなると思います。

例えば、リリース時に問題がおきた場合、なぜその問題が起きたのか、どうすればその問題を防ぐことができたのかを振り返り、教訓を得ることで次回、同じ問題が起きないようにケアすることが可能になります。

また、障害が起き、原因不明だったが、他のチームに支援を求めたことにより、障害をスムーズに解消することができたという経験は成功経験として教訓となると思います。

成功経験も思い通りにいかなかった経験も振り返りを行うことで、教訓を記憶の中に刻むことが可能になります。

エンジョイメント(楽しむ)

「自分の取り込む仕事に対してやりがいや意義を見出す姿勢」

一見つまらない業務、やりたくない業務でも、その中に楽しさや意義を見つけようとするポジティブな姿勢です。

この業務をすると自分はどのような経験をするのか、なにを実現することができるかを考え、業務を自分事にします。

例えば、採用活動で行うエンジニア募集のスカウトメールは、一見、エンジニアを探しスカウトのメールを送信する業務で開発とは関係ないですが、スカウトをするエンジニアを検索することで、どのようなスキルをもったエンジニアが評価が高いのか、どのようなメッセージを送ると返事がもらいやすいのか。

など、新しい経験を得ることができます。

一見開発とは関係ない業務でも、そこから新しい経験を得ることは多いので、そこをやりがいとしてポジティブな姿勢で業務を行います。

リフレクション会とは?

「その業務を行ってどのような経験をしましたか?何を学びましたか?」このように質問されれば、頭の中で考えると思います。

しかしながら、そのような質問がなければ、業務をこなしながら考えることは中々ないのではないでしょうか。

それであれば、振り返りを行う「リフレクション会」を開催することでエンジニアが大きく成長できる支援ができるのではないか。と思って開催することにしました。

また、同じユニットに所属していても、プロダクトチームが異なっていれば、コミュニケーションを取る機会が少ないため、コミュニケーションの場になることも期待しています。

リフレクション会の概要

[開催頻度]

毎週 45分程度(参加人数によって調整)

[質問内容]

  1. 今週印象に残った出来事をひとつ上げて下さい。
  2. それはどのような経験でしたか?
  3. それはどのような気持ちでしたか?
  4. そこから見えるあなたが大切にしている価値観はなんですか?
  5. その教訓から何を学びましたか?

[ワークフロー]

  1. 質問内容が記載されたテンプレートに10分の回答時間で今週の振り返りを入力してもらいます。
  2. 入力が終えたら、各自が記載した内容に関して発表を行います。
  3. 各自の発表が終えたらコメントタイムです。全員が振り返りを聞いていて気になったことを参加者に質問します。

★大切にしていること★

振り返りというと、反省のようなイメージになりますが、この会は反省をする場ではありません。また、評価される場でもありません。ここはライトな交流の場です。思い通りにいかなかった経験だけでなく、成功した経験も振り返るようにしています。

参加者のアンケート結果

Q1. プロダクトチームとは異なるメンバーや上長とのコミュニケーション頻度が増加したか。

  • 定期的にチーム外のメンバーとコミュニケーションが取れる機会があるのはとてもありがたい。
  • 同じユニット内でも業務内容が異なると接点がないチーム外のメンバーとのコミュニケーションを取れており、共感できる部分があったり業務についての方法や考え方が勉強になった。
  • チーム外のメンバーの話が聞けることや、仕事に対する対応なども共有できて良い。
  • 以前はほとんどなかったチーム外のメンバーとのコミュニケーション機会が週1回設けられるようになった。
  • リフレクション会においてチーム外のメンバーや上長とコミュケーションをとることができた。

Q2. 振り返りが習慣化されたか。

  • リフレクション会があることにより意識的に振り返る習慣が身についた。
  • 1週間で何をやったか振り返りのタイミングがないとそれだけで終わってしまうが、みんなで集まるという場のおかげで振り返りを行うことができている。場がないと習慣化は難しい。
  • 話す内容を考える際に必ず振り返るので良い。
  • リフレクション会があることで振り返る機会ができた。
  • 普段からその日の出来事については振り返るように心がけているが、1週間という規模で振り返る習慣はなかったので良い習慣になった。

Q3. 気づきや学びを得ることができたか。

  • 自分が触れたことがない知識や業務に関して話を聞くことができるので関心を持つ幅が広がった気がしている。
  • 自分の業務を振り返ることで学びに気づくということができた。また、他のメンバーの振り返り内容や質問時間から自分にない視点や考え方を学ぶことができた。
  • チーム外のメンバーの対応方法なども聞けるので良い機会だと思う。
  • チーム外のメンバーからのアドバイスを得ることができたため、同じチーム内のメンバーでも知らなかった取り組みを知った。
  • 改善点があるかどうかという観点で振り返りを行っていたが、自分がどう感じているか、どういう価値観を持っているかという観点はなく、自分を知るという学びになった。

Q4. 気づきや学びを業務に活かせたか。

  • 振り返り時のアドバイスや他のメンバーの振り返り内容を聞くことにより自分の業務へ部分的にだが活かすことができている。
  • 意識的な学びが多く、実際の業務として直接的な効果は感じられなかったが、今後同様の問題が発生した場合には気づきや学びを活かせると思った。
  • スプリントの考え方などは学べた。
  • 数は多くないけれど、フィードバックいただいたことに取り組めた。
  • 振り返ることやコミュニケーションをとることで新たに気づくことが増えたが、実際の業務にアウトプットとしてどうアクションするかという改善策まであまり考えられていなかった。

Q5. 業務の効率が上がった、成果に繋がったか。

  • 今のところ直接の業務効率改善等にはつながった実感はあまりない。
  • 直接的に業務効率が上がったと感じるタイミングが無かった。
  • 参考にする内容等あります。
  • 大きな成果ではないけれど、進歩を実感できた。
  • 振り返りや改善活動というよりも、コミュニケーションを促進するという面によってチーム間の連携や情報を獲得する機会が増え、効率が上がったと感じた。

Q6. 感想

  • チーム外のメンバーと交流する場があるのはとてもありがたい。入社して日数もそこまで経っていなかったので、社内・社員やプロダクトごと雰囲気などを感じ取ることができた。
  • リフレクション会を通して、発生した事象が異なっていても、自分が大切にしている価値観の根本は比較的共通しているなと知ることができた。また、うまくいかないことも、ちゃんと振り返り、気づきや学びを得ることで、ただ辛かった記憶だけにならず、良かったと感じた。
  • コミュニケーションが取れて良い。
  • 普段あまりない雑談の時間ができ、以前よりもコミュニケーションを取りやすくなった気がする。
  • 気楽にお互いのことについてコメントがしやすい空間でとても楽しく感じた。ユニット内のコミュニケーションとしても成長するという面でも引き続き参加したいと思っている。
まとめ

リフレクション会どうでしょうか。

業務効率や成果に繋がるかに関しては改善の余地ありですが、 毎週定期的に開催することで、振り返りを行いながら、コミュニケーションの向上や気づきと学びを得ることができます。

興味のある方、是非やってみて下さい。

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参考文献
  • 職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門
  • 部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ
  • 「経験学習」ケーススタディ
  • リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術